隣の畑には、Iさんという新規起農の農家さんがいて、時々声をかけてくれます。「BUNさん(私)のタネはF1ですか、固定種ですか?私は固定種でやっています。農薬も使いませんし、水も水道水は避けて沢の水です。汲むのが大変です」、「えーっと、F1みたいなかっこいいタネではないと思いますが、それと、水は井戸水を汲んでます。水道水は高いですから」 Iさんが何をおっしゃっているのか全く分かりませんが、何とか話をかみ合わせようと必死で返事をしました。「そうですか。井戸水なら安心ですね。週末だけとなるとこの面積の草刈りはきついですね。それでは頑張ってください」
専門用語を使われても、正直厳しいです。義父が借りている畑は、Iさんの畑を分断していて、きっとこの畑も使えたらなーと思っているんだろうな といった申し訳なさ、恐縮めいたところもあります。しかし、無知はいけません。さっそく、固定種とF1を調べてみました。するととんでもないことを知ることになりました。
<固定種>いわば昔のタネ。昔の農家さんは収穫もするけれども採種もして、翌年撒く予定のタネを確保していました。私は今もそうしていると思っていました。そういう種は、だんだんと代を重ねるごとにその土地にあった種に進化していくことになります。京都独特の京野菜などは進化の果てに栽培されているものと思われます。こういう種で作られた野菜は懐かしく、濃い味がして、昔の野菜の味を知っている人はおいしいと感じるんだそうです。ところが、栽培しても形が整わない、成長がゆっくりといった部分があり、早さと形を要求する近代農業には向いておらず、多量均一生産型の農家はみんな固定種を使用しなくなってしまったのです。
<F1種>これは、研究をして雌しべに他の雄しべを受粉させて、成長の良い、成長の早い、虫に強い品種を作り出したものです。ところが、植物というのは、雄しべと雌しべは、同一の個体や近くに生えている同種の個体と受粉するのが普通なので、こういった改良をするのには雄しべがあると勝手に受粉してしまうので邪魔なのです。最初のうちは開花してすぐに雄しべを除いていたのですが、なかには雄しべがもともと無い、奇形の個体があって、それは大変便利なことなので、あらゆる野菜の雄しべの無い種をどんどん培養したのです。今、市販で売られている、一般の農家の使っている種も含めて、基本は雄しべの無い雌しべに強制受粉して作られた野菜から採取した種なのです。それをF1と言います。F1の種を育てて、種を採ろうと思っても、そこには雄しべがありませんから強制受粉しない限り採種はできません。だから、農家さんは毎年種苗業者から種を買うことになります。雄しべのない奇形の野菜を私たちは食べています。形が整っているからって奇形の野菜を食べていてはおかしくなってしまいます。
固定種のタネしか扱わない野口種苗というお店が飯能にあります。そこの主人が言うには、人類の精子の数が毎年0.2%減っている。また、自然界の雌化が進んでいる。まったく科学的な根拠はないが主人曰く、雄しべのない野菜を食っていればそうなる。
Iさんの言っていたことが少しわかりましたが、そういった農法で今の時代本当に農家としてやっていけるのか、今度お会いしたら聞いてみたいと思います。
そして私の畑の野菜のタネもF1だったです。2020年作には固定種のタネを注文してみました。どうせ不揃いになるのだから、不揃いを固定種のせいにできるだけ幸せ。

野口種苗(HPから引用)、この人がきっと店主だと思います。


