助役さんの畑にはすでに発酵鶏糞が5袋散布してあり、更に肥料を加えてトラクター掛け、続いてマルチャー掛けを行います。新しくお借りした畑で感じがつかめませんが、とうもろこしは緑肥としても優秀で最初の栽培に適しています。
農地は市が掌握していて、休耕状態にならないように地主に利用を促します。地域には農業委員さんという人、農家の代表者が、農地の利用の推進者となり、使われていない農地が無いように調整、斡旋をします。
この畑は農作業をしていた私たちに、地主さんから直接お声掛けを頂きお借りすることになった畑で、市役所にその事情を提出して、佐藤農園が利用していると両者が承諾している証書を提出します。賃借人が認証を受けた農家であることを確認して、電気柵の補助金であるとかの対象となってくるのです。
Ryoko社長が市役所に提出した際、市の職員さんから、助役さんの畑ですね。と言われて、初めて地主様が助役さんであったことを知った経緯で、通称助役さんの畑となりました。
地主様のお宅は、母屋離れはもちろん、茶室があり、県指定の銘木が立っていて、庭には鑓水のある豪邸。どの地主様のお宅も立派ですがとりわけ立派なお宅で、お貸し下げの際、整地して頂くなど、恐縮の次第。
畑の肥料設計は、反あたり、作柄に応じて、NPK 、窒素リン酸カリウムそれぞれ何キロ必要という目安があって、それに応じて肥料を投入して耕運して定植します。肥料は有機系統と化成肥料のふた通りがあり、有機系は投入して、それを微生物が分解して、その結果、NPK が畑に施されることになるので施肥から効用まで時間がかかりますが、ミミズが土ごと微生物を食べて、その糞が粒状になり、土に空気や水が通りやすくなり、いわゆる良い土になっていきます。一方化成肥料は
いきなり結果としてのNPK を投入するので即効性は高いですが、微生物の介在が少なくて、化成肥料だけで栽培していると土がどんどん固くなると、言われています。
化成肥料の発明は人類の大きな発明の一つではあります。最近高額になって、代替で発酵鶏糞を使用する量を増やしてコストを抑える工夫する農家が増えて来ました。
佐藤農園は化成肥料は高いのでなるべく有機肥料を代替しますが、しばらく使用していなかった畑を速攻で現用するには化成肥料が助かります。それで育ったとうもろこしを漉き込んだりして、時間をかけて土壌を育てていくのも農家の腕前のひとつと言えます。
ジュースの搾りかすを畑に入れたり、米糠、籾殻を入れたり、緑肥育てたり、多くの農家は少しでも美味しい野菜が育つように畑に工夫します。一所懸命の言葉そのものなわけですが、一方で略奪的農法もあって、焼畑農業もそれに近いですし、更に、飛行機で肥料や農薬を散布するような農法も農地はだんだん力を失うので略奪的と言えます。
恐らく江戸時代の野菜は美味しかったと思います。都市部の人糞、北前船が北海道から持ち帰るタラを肥料に使って、栽培していたわけですから。江戸時代まで遡らなくても、昭和の40年代は農村に行けば肥やしの独特な香りが充満していて、それは有機での栽培のための努力の香であったわけです。当然悪さをする微生物なども活発だったでしょうから、綺麗な野菜というわけではなかったとは思います。
ところでこのマルチ張りは、数多の失敗を重ねて完成度が上がって来ました。佐藤農園は畝の芯から芯までをきっちり測量して、事前に踏み跡を入れて、真っ直ぐに張ります。機械の使用にも慣れて、ラッピングしたようにピッチリ張れるようになりました。
このマルチも近代農業の大きな発明と言えます。地温コントロール、雨に叩かれて地面が硬くなるのを防ぐ、土の跳ね返りでの病気を防ぐ、雑草予防、肥料の流亡防止。昔は敷き藁で代替していました。使用後の撤去がとても面倒です。手間がかかるので面倒ではあります。


